ANAのシステム移行による不具合が深刻化し、2026年6月11日にはANA公式が「お客様には多大なるご不便とご心配をおかけしていますことを深くお詫び申し上げます」と異例の謝罪を表明する事態に発展しました。2026年5月19日にANAが国内線旅客サービスシステムを「アマデウス」へ刷新して以来、予約消失・座席指定不可・電話が繋がらない・メール返信に最大2か月かかるといった事象が次々と報告されています。本記事ではANAシステム移行で何が起きているのか、ANA公式自身が認めている事実、9年前にJALが同じ移行を経験した際との比較、そして利用者として今すぐできる自己防衛策まで、公式ソースに基づいて整理します。ANAを批判するためではなく、利用者として賢く対処するための建設的な内容です。
ANAシステム移行の経緯|数十年に一度の大規模刷新
5月19日にアマデウス移行・国内線/国際線統合
2026年5月19日、ANAは国内線旅客サービスシステムを「アマデウス」(スペインに本社を置く世界的な航空ITプロバイダー)に刷新しました。同時に:
- 国内線と国際線のシステム統合
- 新運賃(シンプル・スタンダード・フレックス)の導入
- マイルアップグレード新設
これら複数の大改革を同時進行で実施するという、業界でも極めて難易度の高いプロジェクトです。
システム移行期間中の状態
ANA公式の発表によると、2026年5月19日〜6月9日(予定)にかけて、全国の空港を順次切り替える「移行期間」となっています。システム統合前・統合後の空港が混在するため、サービスにばらつきが生じる状態が続いています。
ただし、ANA公式自身も「システム移行スケジュールが一部変更になりました」と告知しており、当初の予定通り6月9日に完全移行が完了するかは流動的です。
国内線・国際線の統合
通常、航空会社の予約システムは国内線と国際線で別々に運用されています。これをひとつのシステムに統合するのは、世界的にも事例が少ない難易度の高い試み。アマデウスは既に多くの国際的航空会社で使われていますが、日本の国内線特有の細かいルール(運賃体系・座席タイプ・特典航空券の取り扱い等)を新システムに移植する作業は、想像を絶する複雑さです。
JALは9年前にアマデウス移行済み|ANAは追随した形
実は、JALは2017年11月16日にすでにアマデウスへの移行を完了しています。JALも約50年使ってきた旧システム(1969年導入の大型汎用機)からアマデウス「Altea(アルテア)」へ切り替えたという、ANAと同じ構造の大規模刷新でした。プロジェクト名は「SAKURAプロジェクト」、投資額は800億円という大型案件です。
| 項目 | JAL | ANA |
|---|---|---|
| アマデウス移行時期 | 2017年11月16日 | 2026年5月19日 |
| 旧システム使用期間 | 約50年 | 約50年 |
| 採用システム | Amadeus Altea | Amadeus Altea |
| 対象 | 国内線・国際線統合 | 国内線・国際線統合 |
| 移行直後のトラブル状況 | 目立ったトラブルなし(Aviation Wire報道) | 大規模混乱が継続中 |
JALの移行から約9年後にANAが追随する形となりましたが、JALの移行は比較的スムーズだったのに対し、ANAは大規模混乱が続いているのが対照的です。JALも当時は「ウェブチェックインのルール改訂で空港ごとに準備が整うまでサービス停止」など、一定の混乱はあったものの、ANAほど深刻な状態にはなりませんでした。
なぜANAだけここまで混乱しているのか——新運賃導入・SFC改定の同時進行・繁忙期との重なりといった要因が、JALの移行時にはなかった負荷をANAに集中させた、と見ることができます。
主な不具合・トラブル一覧
① 予約が見えない・消えそうになる問題
複数のユーザー体験談から、以下のような事象が報告されています:
- スカイコイン+クレカで決済した予約がアプリ上で確認できない
- 購入完了メールが届かない
- 「予約が消えたのでは」と不安になり買い直したが、後で予約が残っていたことに気づく
- 出発当日の搭乗口変更SMSで初めて予約が残っていることに気づくケース
特に、移行直後の数日間は新システム側でのデータコンバート(変換・同期)処理に膨大な負荷がかかっていたため、画面が固まったり予約状況が不正確に表示される事象が頻発しました。
② 座席指定ができない問題
ANA公式の案内によると:
- システム統合前の空港から出発する予約便では、出発時刻48〜24時間前の座席指定ができない
- 事前座席指定可能運賃の場合は、出発時刻48時間より前に座席指定、またはオンラインチェックイン・カウンター手続きの際に座席指定が必要
これに加えて、新運賃の「シンプル運賃」では座席指定が24時間前からという既存ルールも重なり、「いつ座席指定できるのか分かりにくい」という混乱が広がっています。
③ 問い合わせが繋がらない問題
ここはANA公式自身が認めている重要事項です。ANA公式「お問い合わせ窓口(電話・メール)の混雑・よくあるお問い合わせについて」より:
「5月19日以降のご搭乗分に関するお問い合わせが急増している影響により、各お問い合わせ窓口が非常に混雑しております。お電話が繋がりにくい状況が発生しているほか、メールでのお問い合わせにつきましても、返信まで2週間から2か月ほどお時間を要する場合があり、多大なるご不便とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」
つまり、「メール返信は最大2か月待ち・電話も繋がりにくい」というのは、ANA公式自身が認めている事実です。複数の体験談ブログでも「電話で1〜2時間待たされた」「ダイヤモンドサービスデスク(上級会員専用)も例外なく繋がりにくい」という報告が相次いでいます。
ANA公式は「お問い合わせ窓口のオペレーターを増員して対応にあたっていますが、依然として非常に混雑し、長らくお待たせしています」とお詫びしていますが、根本的な解消には時間がかかる見通しです。
④ 支払い・払い戻し関連の機能不具合
移行期間中は、以下のような機能で制限・不具合が継続中:
- 一部のコンビニ・現金決済関連の機能で不具合
- 現金決済済みの払い戻しがウェブで完結しないケース
- 航空券+宿泊(ダイナミックパッケージ)の予約確認メールが届かないケース
- レンタカー・アクティビティ機能の一部が利用不可
これらは公式サイトの「よくある質問」「ウェブサイトリニューアルにおける機能制限について」ページで随時案内されています。ANA公式自身が認めている主な機能制限の例:
- 2026年5月19日以降の国内線有料ラウンジサービスのウェブ事前予約が不可(電話のみ受付)
- 悪天候等で未使用の特典航空券をウェブで払い戻した場合、払戻完了メールが送信されない
- 子供一人での特典航空券予約がウェブから不可(電話のみ受付)
つまり、「ウェブだけで完結する手続き」が一部のケースで電話必須に逆戻りしている状態です。これが、電話の問い合わせ集中につながり「電話が繋がらない」状態の悪循環を生んでいる、という見方もできます。
なぜこれほど大規模な混乱が起きているのか
数十年に一度の大規模刷新
今回のシステム移行は、ANAが50年近く使ってきた旧システム「able」から、アマデウス(業界標準のグローバル基盤)への切り替えです。これは航空業界でも数十年に一度レベルの大規模な刷新であり、技術的なハードルが非常に高いプロジェクトです。
新運賃導入と同時進行
2026年5月19日には新運賃「シンプル・スタンダード・フレックス」も導入されました。システム移行と新運賃導入が同じ日ということで、利用者からの問い合わせが集中し、対応能力をはるかに超える負荷がかかっています。
繁忙期との重なり
5月のGW明け〜6月は、夏休みに向けた予約・修行者の駆け込み利用などでもともと予約・問い合わせが多い時期。さらに2028年からのSFC PLUS/LITE 2段階制の発表もあり、SFC修行勢の動きが活発化していたタイミングでもあります。
JALと同じシステムなのになぜANAは混乱したのか
技術的には、JALも約9年前に同じアマデウスへの移行を実施しており、システム自体の問題ではなく、ANA特有の要因が混乱を増幅させたと考えられます。
JALの移行時とANAの移行時の違いは:
| 要因 | JAL(2017年11月) | ANA(2026年5月) |
|---|---|---|
| 新運賃同時導入 | なし | あり(シンプル・スタンダード・フレックス) |
| ステータス制度改定 | なし | SFC PLUS/LITE 2段階制発表後 |
| アップグレード制度変更 | なし | マイルアップグレード新設 |
| 繁忙期との重なり | 11月(比較的閑散期) | 5月〜6月(夏休み準備の駆け込み) |
JALは「システム移行のみ」に集中したのに対し、ANAは「システム移行+運賃改定+ステータス改定+夏前駆け込み」という複合要因が重なり、結果として問い合わせが集中する事態になりました。
SFC修行中の方への影響
移行期間中の修行は要注意
SFC修行で6月・7月に羽田〜那覇を予定している方には、以下の点に注意が必要です:
- システム移行が完了した空港と未完了の空港で挙動が異なる
- 予約確認は出発72時間前・24時間前の2回チェックを推奨
- 座席指定は可能な時間帯になったら即時に行う
- 当日トラブル時は空港カウンターに直接行く
2026年8月の定時運航率の見通し
8月のANA定時運航率はここ数年6割台という厳しい数字が続いています。今回のシステム移行混乱が完全に収束しない状態で繁忙期に突入する場合、定時運航率がさらに悪化する可能性も否定できません。修行スケジュールには大きめの余裕を持っておくのが賢明です。
利用者が今すぐできる自己防衛策
「文句を言うより、自分で備える」——ANAの混乱が落ち着くまでの実用的な自己防衛策をまとめます。
① 予約番号をスクリーンショットで保存
万が一の事態に備えて、予約番号と便情報のスクリーンショットを保存しておきましょう。アプリで予約が見えなくなっても、スクリーンショットがあれば空港カウンターで状況確認が可能です。
② 支払い完了メールを必ず確認・保存
決済完了後、ANAから届く確認メールは「迷惑メール」フォルダにも入っていないか確認してから保存。万が一の証拠として重要です。
③ 出発72時間前・24時間前の2回チェック
- 出発72時間前:予約状況・座席指定可能時刻・搭乗便スケジュールを確認
- 出発24時間前:オンラインチェックイン可否・最終的な座席指定・搭乗便変更を確認
「直前まで放置」が最大のリスク。こまめなチェックが安全策です。
④ 座席指定は可能になり次第すぐに
事前座席指定可能運賃の場合、出発時刻48時間より前に座席指定しておくのが鉄則。移行期間中は「48〜24時間前は座席指定不可」という制限があるため、早めに動く方が確実です。
⑤ 電話・メールが繋がらない場合は空港カウンターへ
「電話で1〜2時間待つくらいなら、空港に直接行く方が早い」というのが、現状の実態。搭乗当日に問題が発生した場合は、迷わず空港のANAカウンターへ直接相談するのが解決の近道です。
⑥ 旅行保険・クレカ付帯保険の確認
万が一のキャンセル・遅延に備えて、旅行保険付きクレジットカード の補償範囲を事前に確認しておきましょう。航空券決済時にカード付帯保険を有効化しておくのが鉄則です。
ANA公式の対応状況|異例の謝罪表明
6月11日付の公式お詫び
ANAは2026年6月11日、ウェブサイトに「国内線サービスのリニューアルに伴い、ご不便とご心配をおかけしていることへのお詫び」を掲載しました。「全日本空輸株式会社」名義の公式謝罪で、フラッグキャリアによる異例の対応です。
公式お詫びで認めている具体的な事象
- 「ANAウェブサイト、ANAアプリからの予約・購入・照会・チェックイン等に関するシステムの動作に時間を要しています」
- 「新運賃やサービス等に関するお問い合わせの急増に伴い、お問い合わせ窓口の電話がつながりにくく、メールの返信に時間を要している状況です」
- 「ご搭乗に際し、空港カウンターにお立ち寄りいただいているなど、お手間をおかけする場合があります」
ANAは「ANAウェブサイトやANAアプリの動作に関しましては、継続して改善に取り組み、さらなる性能向上に努めてまいります」「お問い合わせ窓口のオペレーターを増員して対応にあたっていますが、依然として非常に混雑し、長らくお待たせしていますことを重ねてお詫び申し上げます」「一刻も早い状況改善に向けて全力で取り組んでまいります」と表明しています。
6月10日付の公式案内|コードシェア便のオンラインチェックイン不可
ANA公式は2026年6月10日に「(国内線)提携航空会社運航便を含む旅程のオンラインチェックイン不可について」という案内を別途追加:
「提携航空会社が運航する便を含むご予約において、最初の区間(他社運航便)にご搭乗済みであるにもかかわらず、ANAウェブサイトやANAアプリから後続便のお手続きを行う際、以下のエラーが発生するケースが確認されております」
- 「後続のANA便のオンラインチェックインができない」
- 「最初の区間(他社運航便)に搭乗済みであれば、後続のANA便(往復旅程の復路含む)はオンラインチェックインが可能ですが、エラーが表示されている場合手続きが完了できない」
- 「チェックイン状況が表示されず、各種変更・発行ができない」
ANA公式の対処法は「ご搭乗当日に空港の自動チェックイン機または空港のカウンターにてお手続きをお願いいたします」——つまり当面は空港カウンターでの対応となります。
関連する3つの公式ページ
| 公式ページ | 内容 |
|---|---|
| 国内線サービスのリニューアルに伴うお詫び | 6月11日付公式お詫び |
| お問い合わせ窓口(電話・メール)の混雑 | 電話繋がりにくい・メール返信2週間〜2か月待ちの説明 |
| システム移行期間のサービス制限について | 移行スケジュール・空港別状況 |
体験談|実際にシステム移行後のANAに搭乗してみて
私自身も、システム移行後にANA便を利用する機会がありました。日帰りの往復便を予約していたところ、復路便のチェックインができないという事象に遭遇しました。
具体的には、往路便のチェックイン情報がアプリ上で表示され続け、復路便のチェックイン操作に進めない状態。最初は「自分の操作ミスかな」と思ったのですが、ダイヤモンドステータスで電話してもどうしても繋がらず、結局当日空港でANAスタッフに直接聞いて解決しました。「往路便の搭乗が完了するまで復路便のチェックインができない仕様」だったとのことで、これはシステム移行に伴う一時的な制約のようでした。
これはANA公式自身が6月10日に「(国内線)提携航空会社運航便を含む旅程のオンラインチェックイン不可について」として、利用者全体に向けて告知している事象でした。「最初の区間に搭乗済みであれば、後続のANA便(往復旅程の復路含む)はオンラインチェックインが可能ですが、エラーが表示されている場合手続きが完了できない」という、まさに私が同日に遭遇した状況がそのまま記載されていました。
つまり、私のトラブルは単発の事象ではなく、コードシェア便を含む往復旅程を持つすべての利用者に発生する可能性のある問題だったのです。情報自体は公式ページで丁寧に案内されているけれど、自分のトラブルに該当する案内を見つけるのに苦労する——これが、今回のシステム移行で多くの利用者が直面している現実です。
ANAを利用する側として、どう向き合うか
怒っても解決しない、冷静に対処を
正直、利用者として「電話が繋がらない」「予約が消えた」という状況は不安で苛立つものです。ただ、怒っても問題は解決しません。むしろ:
- 公式の案内を丁寧に確認
- 自己防衛策で予防
- 空港カウンターで直接相談
この3つで、ほとんどのトラブルは何とかなります。「ANAが悪い」と言うより「自分はどう動くか」に注力する方が、結果的に旅程は守られます。
大改造の過渡期と理解する
2026年4月23日のSFC改定、2026年5月19日の新運賃導入+マイルアップグレード新設、システム移行——これらは全て、ANAが「グローバルエアラインへと脱皮するための大改造シリーズ」の一環です。
旧システム「able」のままでは、生成AI連携や最新モバイル機能の追加スピードで世界に遅れをとる構造的な課題がありました。短期的な混乱と引き換えに、長期的にはより良いサービスへと進化する——そう信じて、過渡期を乗り切る冷静さも必要です。JALも9年前に同じ移行を経験して今に至っており、ANAも数か月後には安定運用に入っていくはずです。
まとめ|6月末までは慎重に、それ以降は徐々に安定へ
ANAのシステム移行による混乱は、「数十年に一度の大規模刷新」ゆえの避けられないコストです。利用者として大切なのは、怒るより備える、待つより自分で動くというスタンスです。
重要ポイントおさらい
- 2026年5月19日にアマデウスへ刷新・国内線/国際線統合・新運賃導入が同時進行
- JALは2017年11月にすでに同じアマデウス移行を完了済み(ANAは9年遅れの追随)
- 5月19日〜6月9日(予定)は移行期間で空港間に差異が生じる
- 2026年6月11日にANA公式が「お客様には多大なるご不便とご心配をおかけしています」とお詫び掲載
- メール返信は2週間〜2か月待ち・電話も繋がりにくい(公式が認めた事実)
- コードシェア便を含む往復旅程ではオンラインチェックインができないケースあり
- 公式お知らせの確認 → 早期チェック → 空港カウンター直接相談が3大対処法
自己防衛策5箇条
- [ ] 予約番号・確認メールをスクリーンショット保存
- [ ] 出発72時間前・24時間前の2回チェック
- [ ] 座席指定は可能になり次第すぐに
- [ ] トラブル時は電話より空港カウンターへ
- [ ] 旅行保険・クレカ付帯保険の補償範囲を事前確認
混乱は確かに続いていますが、冷静に対処すれば旅程は守れます。SFC修行中の方も含め、ANA2026年大改造の過渡期を賢く乗り切っていきましょう。
※本記事は2026年6月12日時点のANA公式情報および利用者の体験談に基づいています。最新情報はANA公式システム移行案内で必ずご確認ください。


