フィリピン航空がワンワールドへ加盟する見通し——2026年6月6日(日本時間6月7日)、ブラジル・リオデジャネイロで開幕したIATA第82回AGM(年次総会)で、ワンワールドとフィリピン航空が加盟に向けた覚書(MOU)に署名しました。正式加盟は2027年6月ごろを見込み、ワンワールドの16社目の加盟航空会社となる予定です。日本路線を多数運航するフィリピン航空がJALと同じアライアンスに入る——これはJALマイラーには朗報、ANAマイラーには注視が必要なニュースです。
発表の概要|まだ「覚書」の段階
重要な前提として
まず大切な点を整理しておきます。今回の発表は「加盟が決定した」のではなく「加盟に向けて動き出した」段階です。正式加盟までには約1年の準備期間があり、その間にシステム統合・サービス連携・運用ルール調整などが進められます。
基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 現地時間2026年6月6日(日本時間6月7日) |
| 発表場所 | ブラジル・リオデジャネイロ |
| 発表機会 | IATA(国際航空運送協会)第82回AGM |
| 内容 | ワンワールドとフィリピン航空が加盟覚書(MOU)に署名 |
| 正式加盟予定 | 2027年6月ごろ |
| 加盟後の順位 | ワンワールド 16社目 の加盟航空会社 |
ワンワールド理事会からの招請
フィリピン航空は、加盟航空会社のCEOで構成するワンワールド理事会から、加盟予定航空会社として正式に招請されました。これは、ワンワールド側がフィリピン航空を「迎え入れたい」と明確に意思表示した形となります。
ワンワールドとは|世界3大アライアンスの一角
加盟航空会社15社(2026年6月時点)
ワンワールドは、スターアライアンス・スカイチームと並ぶ世界3大航空アライアンスの1つ。現在の加盟航空会社は15社あり、JALも創設メンバー級の主要加盟社です。
主な加盟航空会社
| 地域 | 航空会社 |
|---|---|
| アジア | 日本航空(JAL)・キャセイパシフィック航空・マレーシア航空・スリランカ航空 |
| 北米 | アメリカン航空・アラスカ航空・ハワイアン航空 |
| 欧州 | ブリティッシュ・エアウェイズ・フィンエア・イベリア・ロイヤル・ヨルダン |
| オセアニア・他 | カンタス・フィジーエアウェイズ・カタール航空 |
直近の加盟ラッシュ
2025年3月にフィジーエアウェイズ(14社目)、2026年4月にハワイアン航空(15社目)、そしてフィリピン航空が16社目——ここ1年でワンワールドは急速に加盟社を拡大しています。アジア・太平洋地域のネットワーク強化が、ワンワールドの明確な戦略として浮かび上がります。
※ハワイアン航空は現在、アラスカ航空フライトコード「AS」で運航
フィリピン航空の概要|アジア最古の航空会社
1941年設立・国営航空会社
フィリピン航空はフィリピンの国営航空会社で、1941年設立のアジア最古の航空会社。歴史と実績を兼ね備えた、東南アジアを代表するフラッグキャリアです。
日本路線の充実度
日本人にとって意外と身近な航空会社で、以下のように充実した日本路線網を持っています。
| 出発地 | 便数 |
|---|---|
| 成田 | 毎日4便 |
| 羽田 | 毎日2便 |
| 名古屋 | 毎日1便 |
| 関西 | 毎日1便 |
| 福岡 | 毎日1便 |
目的地はマニラ(ニノイ・アキノ国際空港)が中心で、人気リゾートのセブにも直行便を運航。「日本からフィリピンへ行くなら一番選びやすい航空会社」のポジションです。
機材構成
- エアバスA320・A321:短中距離・日本路線にも投入
- エアバスA330-300:中距離国際線(中東・東南アジア・オーストラリア・日本など)
- エアバスA350-900・A350-1000:長距離国際線(北米路線中心)
特にA350-1000は東南アジア初の受領で、2025年12月から運航開始。長距離路線の刷新も着々と進めている航空会社です。
ANAとの資本関係|実は深い繋がり
ANAが2019年に9.5%出資
ここが今回最も興味深いポイント。フィリピン航空は現在、ANAと資本関係があり、ANAが9.5%を出資しています。2019年2月にANAとフィリピン航空が資本提携を結び、コードシェア拡大や機内食提携などの強い協力関係を築いてきました。
現在のマイル積算
フィリピン航空は現在、ANAマイレージクラブの提携航空会社として登録されており、フィリピン航空便への搭乗でANAマイルが積算可能な状態です。
スターアライアンスとは別の独自提携
フィリピン航空は現在、スターアライアンス・スカイチーム・ワンワールドのいずれにも非加盟。ANAとの提携は、アライアンスを介さない独自の二者間提携として成立しています。
JALマイルとフィリピン航空|関係はこう変わる
現状(〜2027年6月)
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| JALマイル積算 | ❌ 不可 |
| JALマイルで特典航空券発券 | ❌ 不可 |
| JGC会員のラウンジ利用 | ❌ 不可 |
正式加盟後(2027年6月以降・見込み)
| 項目 | 期待される状況 |
|---|---|
| JALマイル積算 | ✅ 可能になる見通し |
| JALマイルで特典航空券発券 | ✅ ワンワールド特典航空券として利用可能 |
| JGC会員のラウンジ利用 | ✅ サファイアステータスでラウンジ利用可能に |
| 優先搭乗・優先手荷物 | ✅ ワンワールド共通特典として享受 |
特に重要なのが、JMBサファイア・JGC会員のフィリピン航空便利用時の優遇。これまでフィリピン旅行ではJAL便しか恩恵がなかったのが、フィリピン航空便でもラウンジや優先搭乗が使えるようになります。これはアジア圏のリゾート旅行者にとって、地味だが大きな進化です。
詳細は正式加盟後に発表
ただし、現時点でマイル積算率や特典航空券の必要マイル数は未発表。正式加盟が近づく2027年春ごろに、詳細な条件が発表される見込みです。
ANAマイラーへの影響|注視が必要
現在の懸念点
ここが今回のニュースで最も「気になる」ポイントです。フィリピン航空は現在ANAの提携航空会社で、ANAマイルが積算可能。しかし、ワンワールド加盟後もこの関係が継続するかは現時点で不明です。
スターとワンワールドの両提携は通常あり得ない
航空業界の通例として、異なるアライアンスのキャリアと密接な提携を維持するのは難しいとされます。例えば:
- ベトナム航空は2016年にスカイチーム加盟だがANAと別途提携
- シンガポール航空はスターアライアンス加盟でJALとは提携なし
このように、アライアンスが優先されるのが一般的な構造です。
想定されるシナリオ
どちらに転ぶかは現時点で不明ですが、ANAマイラーは「フィリピン航空でANAマイルを貯められる時代は終わるかもしれない」という心構えだけは持っておくべきでしょう。
ANA側の対応に注目
ANAホールディングスからの公式発表が今後注目されます。東南アジア戦略の見直しを含めて、ANA-フィリピン航空の関係がどう再構築されるかは、業界全体の関心事です。
日本人旅行者への影響まとめ
JALマイラーは恩恵大
| 項目 | メリット |
|---|---|
| マイル獲得機会 | フィリピン航空便でJALマイル積算可能に |
| 特典航空券 | ワンワールド特典でフィリピン航空便利用可能 |
| JGC会員特典 | フィリピン航空便でラウンジ・優先搭乗 |
| 旅行の幅 | フィリピン・東南アジア路線がより身近に |
JGCを保有している方 や JAL Luxury Cardでマイルを貯めている方 には特に朗報です。
ANAマイラーは注視が必要
| 項目 | 懸念点 |
|---|---|
| マイル獲得 | フィリピン航空でのANAマイル積算が終了する可能性 |
| コードシェア便 | 現行のANA-フィリピン航空コードシェアが見直される可能性 |
| 東南アジア戦略 | ANA側の代替パートナー探しが必要になるかも |
ANAマイルの使い道 を考えている方は、フィリピン航空でのマイル積算機会を2027年6月までに使い切ることを検討してもよいかもしれません。
フィリピン旅行を計画中なら
マニラ・セブのリゾート旅行を計画している方は、2027年6月以降はJALマイラーにとって魅力的な選択肢が増えます。ただし、現時点では正式加盟前なので、当面はANA提携のメリット(マイル積算)を享受できる状況です。
所感|アジア太平洋地域の競争激化が背景
ワンワールドが直近1年でフィジーエアウェイズ・ハワイアン航空・フィリピン航空と立て続けにアジア太平洋系のキャリアを取り込んでいる構図は、業界の競争激化を象徴しているようにも見えます。
スターアライアンスにはANA・シンガポール航空・タイ国際航空・エバー航空など、もともと強いアジア勢が揃っています。これに対抗する形でワンワールドもJAL・キャセイパシフィック・マレーシア航空に加え、フィリピン航空という有力カードを揃える——これは戦略として非常に納得感があります。
一方、ANAから見れば「9.5%出資している航空会社が、競合アライアンスに加盟する」という、なかなか複雑な状況。資本関係を維持したまま戦略を見直す難しい局面で、今後のANA-フィリピン航空の関係修復・再構築は要注目です。
正式加盟の2027年6月までは1年。その間に、マイル積算ルール・特典航空券の取り扱い・ANAとの提携継続有無などが順次明らかになっていくはず。引き続きSoravioでも、続報を追っていきます。
まとめ|2027年6月までに準備すべきこと
フィリピン航空のワンワールド加盟覚書締結は、JALマイラー・ANAマイラーともに戦略の見直しが必要なニュースです。
重要ポイントおさらい
- 2026年6月6日(現地時間)に加盟覚書(MOU)締結
- 正式加盟は2027年6月ごろ・ワンワールド16社目
- 現在は覚書段階・正式加盟ではない点に注意
- JALマイラー:フィリピン旅行の選択肢が広がる(2027年6月以降)
- ANAマイラー:マイル積算が終了する可能性に注視
JALマイラーへのアクション
- 2027年6月以降のフィリピン旅行を視野に入れる
- 日本路線(成田・羽田・名古屋・関西・福岡)の充実度を活用
- JGC会員はラウンジ利用などの恩恵を期待
ANAマイラーへのアクション
- 2027年6月までにフィリピン航空でのマイル積算機会を活用
- ANA側からの公式発表をフォロー
- 東南アジア路線の代替戦略を検討
航空業界の地殻変動とも言える今回のニュース。1年後の正式加盟に向けて、自分のマイル戦略を見直すきっかけにしてみてください。続報があれば、Soravioでも随時お伝えしていきます。
※本記事は2026年6月7日時点のAviation Wire・ワンワールド公式発表に基づいています。最新情報はワンワールド公式・各航空会社公式サイトでご確認ください。


